プリっとした食感と口いっぱいに広がる濃厚なうまみがたまらない牡蠣。
牡蠣鍋など加熱しても、生でレモンを絞っていただいてもおいしいですよね!
一方で、食あたりが多い食材でもあることから食べるのをためらうこともあるのではないでしょうか?
今回は、
牡蠣にあたるとどんな症状が出るのか?
あたった際の対処法は?
また、食中毒を未然に防ぐ方法をご紹介!
正しい情報を得て、安全でおいしく牡蠣を楽しんでください!
この記事は、三重ブランドの高級牡蠣「的矢かき」生産の「佐藤養殖場」の監修でお届けします。
佐藤養殖場は、牡蠣におけるプロ中のプロ!
社長の濱地氏は「みえのカキ安心協議会」の副会長もしていらっしゃいます!
牡蠣に「あたる」理由は?
牡蠣を食べて具合が悪くなるケースは、大きく分けて3つあります。
1、食中毒
主にノロウイルスによる食中毒ですが、腸炎ビブリオという細菌による食中毒もあります。
実は牡蠣にあたるケースのほとんどが「ノロウィルス」によるもの。
一番気をつけたいケースですね。
2、貝毒
2つ目は、牡蠣自体に毒素(貝毒)が含まれており、その牡蠣を食べることであたってしまうというケースです。
この毒素は牡蠣が作り出すのではなく、牡蠣が食べるプランクトンに含まれていることが原因です。
海水中には有毒なプランクトンが生息しており、そのプランクトンを牡蠣が食べることで牡蠣の体内に毒素がたまります。
食中毒に似た症状ですが、中には重症化する場合もあるため要注意です。
3、アレルギー
3つ目はアレルギーによる症状です。
食中毒と違って吐き下しのような症状はないですが、蕁麻疹やひどい場合はアナフィラキシーショックを起こす場合もあるため、危険です。
牡蠣を食べた際に毎回のように症状が出る場合、牡蠣アレルギーの可能性が高いです。
また、牡蠣アレルギーの場合は牡蠣そのものだけでなく、牡蠣成分が含まれている食品でも症状の現れることが特徴です。
このようにあたると怖い食材ではありますが、現在市場に出回っている牡蠣は、生産地が設けている検定基準をクリアしている牡蠣ばかり。
さらに、どこの地域でも牡蠣の養殖技術がとても進んでおり、処理も適切に行われているといえます。
商品として販売されている牡蠣をちゃんと処理した上で食べれば、まず問題ないと言えます。
反対に、例えば海で自分で獲ってきた牡蠣をそのまま食べるなどはNG。
とはいえ、なかなかそのような状況はないと思うので、過剰な心配は不要ですよ!
牡蠣にあたらないための予防策
旬の時期の牡蠣って本当においしいですよね!
そんな牡蠣をおいしく食べるために、しっかりと予防策を知ったうえで調理をしましょう。
先述の通り、牡蠣にあたる原因の多くが食中毒によるものです。
生で食べる際を除いて、食中毒を回避するために大事なのは加熱すること。
ノロウイルスや腸炎ビブリオといった菌は加熱するとほぼ死滅するため有効な対策といえます。
そのほか、有効な対策や生で食べる際の対策を紹介します。
「加熱用牡蠣」と「生食用牡蠣」をちゃんと把握する
売られている牡蠣には必ず「加熱用」か「生食用」か記載されていますので必ずチェックしましょう。
加熱用と生食用の牡蠣は、出荷前の育つ時点ですでに違いがあります。
生食用として販売されている牡蠣は、決められた水質の基準をクリアしたウイルスなどのいない水の中で育ち、さらには出荷前に滅菌処理がされています。
加熱用牡蠣は水質の基内準などは設けられておらず、栄養分の豊富な海域で養殖されることが多いため、たくさんの栄養を含みますが、ウイルスも同時に体内に含んでいる可能性があります。
このように生食用牡蠣は生で安全に食べられるように工夫がされている反面、滅菌処理の間にうま味が逃げてしまうことから水っぽく、身が痩せてしまっているものが多いのも事実です。
当たり前のことではありますが、加熱用を生で食べるのは絶対NG!
生食用は加熱用に比べ価格が少し高めなことが多いです。
また、加熱用の牡蠣のほうが身が大きく、うまみが含まれています。
パッと見加熱用の牡蠣のほうが立派でおいしそうに見えるかもしれませんが、加熱用を買って生で食べるのはとても危険です。
ネットを見ると「加熱用を生で食べても大丈夫」という誤った情報もありますが、決して安全ではないです。
きちんとした根拠を基に「生食用」「加熱用」と分けられているので、混同しないようにしましょう!
しっかりと加熱して食べる
加熱する際に重要なのは「牡蠣の内部をしっかりと加熱すること」です。
表面だけを加熱したり、内部まで火が通っていない半生状態で食べては意味がありません。
厚生労働省はノロウイルスの場合、中心部の温度が85-90℃に達した状態で、90秒以上の加熱が安全な加熱基準として推奨しています。
火がきちんと通っているか判断する方法としては
- 身がぷっくりしているか
- 触ってみて弾力があるか
- フォークを中心部まで刺し、フォークが熱々になっているか
- 断面を見て、半透明の身が白くはっきりとしているか
などがあります。
それでも気になる場合は、加熱する料理であっても、生食用の牡蠣を使用するのも一つの方法ですよ◎
調理の際の手洗いはしっかりと!他の食材なども注意!
牡蠣の調理を行う際もう1つ重要なことは、牡蠣以外の食材や調理器具、牡蠣に触れる手の処置です。
例えば
- 牡蠣を扱った包丁、まな板でほかの食材を扱わない。
- 加熱しない食材は、牡蠣よりも先に切っておく。
- 牡蠣を洗う際に使った水が他の食材や調理器具にかからないようにする。
- 牡蠣を扱った調理器具をその後も使用しなければいけない場合は、しっかりと消毒してから使用する。
あるいは、洗ったあとに熱湯をかけておく。
など、少し気を配るだけで食中毒を回避できます。
また、牡蠣を触った場合に限らず、手をこまめに洗うことも重要です。
これは牡蠣の調理に限らず一般的に言えることでもありますが、ノロウイルス予防対策に効果的なのは手洗いです。
ビニール手袋などを使用するのもいいですね◎
体調を万全に
もし牡蠣にあたったとしても、免疫力によって症状が変わります。
極端な話、仮にウイルスや菌を持っている牡蠣を食べたとしても、体の免疫力が非常に高ければ症状が出ないと言えます。
逆に、少しでも体調がすぐれない場合に牡蠣を食べると、体調を崩しやすいです。
というのも、体調不良で免疫力が下がっているときは食中毒菌の繁殖を抑えている胃酸や腸の乳酸菌などのはたらきも低下してしまうため、食中毒菌の繁殖を止めることができなくなってしまうんです。
そのため、軽い風邪気味であったり、寝不足のときも、たとえ加熱処理をしている牡蠣でも、食べるのを控えたほうが良いと言えます。
牡蠣をおいしく食べるためにも、免疫力を上げて健康な状態でいましょう!
どうしても生牡蠣が食べたい!
「海のミルク」と呼ばれる牡蠣。
加熱してしまうとそのクリーミーさが失われてしまいどうしても牡蠣本来のうまみは感じられないため、牡蠣が好きな人ほど「生で食べたい!」と思うのではないでしょうか。
そんなときは、「生食用牡蠣」を食べるのはもちろんのこと、産地などにも注目することをおススメします。
牡蠣を生で食べる際に気を付けるべきことは、
①規格基準をクリアした牡蠣を選ぶこと
②産地の自治体が公開している情報をチェックすること
牡蠣が有名な都道府県では、牡蠣の状態に関する情報が公開されているのでそちらをチェックしてみましょう。
たとえば、三重県では県のホームページ内に「みえのカキ安心情報」というページを設けており、牡蠣の安全性に関する情報を随時公開しています。
安全性がきちんと保たれていることが分かれば安心して食べることができます。
「絶対に食中毒にならない牡蠣」はないですが、「安全なものを選んで食べる」ということを意識するようにしましょう。
牡蠣にあたった時の症状
①ノロウィルスが原因のケース
牡蠣にあたるほとんどがノロウィルスによるものとされています。
ノロウイルスは冬が旬の真ガキが出回る1〜2月頃、海水温が10℃を切る時期に流行します。
ノロウイルスの潜伏期間は長く、食後1日~2日で症状が現れます。
遅い場合は、牡蠣を食べてから2日後あたりに症状が現れることもあります。
症状は38度前後の高熱、腹痛、激しい嘔吐や下痢、胃もたれや悪寒などが現れ、一般に1~2日ほど継続します。
幼児や身体の抵抗力が落ちている人だと、重症化するケースもあります。
〈ノロウイルスまとめ〉
潜伏期間 | 食後1~2日 |
主な症状 | 高熱、腹痛、嘔吐、下痢 |
流行時期 | 1月~2月 |
②腸炎ビブリオが原因のケース
水温の上がる夏ころの牡蠣は、腸炎ビブリオによる食中毒が心配されます。
腸炎ビブリオが原因の場合、激しい下痢(1日に数回~数十回)や腹痛、吐き気、嘔吐、発熱が症状として現れ、血便になることもあります。
食後12時間ほどで症状が現れますが、早ければ食後2時間~3時間と短い時間で発症します。
症状が継続するのは6時間~24時間と、ノロウイルスに比べてやや短めではありますが、症状が落ち着いても、念のため医療機関で受診しましょう。
〈腸炎ビブリオまとめ〉
潜伏期間 | 食後12時間ほど(早い場合2~3時間) |
主な症状 | 激しい下痢、腹痛、嘔吐 重症の場合血便 |
流行時期 | 夏頃 |
③貝毒が原因のケース
貝毒とは、主に二枚貝(アサリ、カキなど)が毒を持った植物プランクトンを餌として食べることで体内に毒を蓄積させる現象のことです。
貝毒が原因の症状には、麻痺性と下痢性の2種類があります。
麻痺性貝毒はフグ毒によく似た症状で、食後30分ほどで舌、唇、顔面がしびれてきて、やがてしびれが全身に広がります。
重症になると体が動かなくこともあり、最悪の場合、12時間以内に呼吸困難などを起こして死に至る可能性もある恐ろしいものです。12時間を超えると回復に向かっていくとされています。
下痢性貝毒の場合は食後30分から4時間以内に発症し、下痢症状のほかにおう吐、吐き気、腹痛が起こります。
発熱はありませんが症状はおよそ3日ほど継続します。こちらは死亡例はありませんが、3日間症状が長引く非常につらいものです。
〈貝毒まとめ〉
潜伏期間 | 麻痺性貝毒:食後30分ほど 下痢性貝毒:食後30分から4時間ほど |
主な症状 | 麻痺性貝毒:しびれ 下痢性貝毒:下痢、おう吐、吐き気、腹痛 |
流行時期 | 無し |
④牡蠣アレルギーが原因のケース
牡蠣アレルギーが原因で症状が現れる場合、大きく異なるのは身体に蕁麻疹のような発疹が出ること。
食後1時間~2時間ほどで症状が現れます。
蕁麻疹のような発疹は軽度の症状ですが、症状が重い場合に気をつけたいことが、アナフィラキシーショックです。
アナフィラキシーショックが起こると、意識障害や呼吸困難に陥るなど、命に関わる場合もあります。
アレルギーは一度きりではなく、牡蠣を食べる度に症状が現れるため、何度も発症する場合は医療機関での受診するようにしましょう。
牡蠣にあたってしまったの対処法
対策を講じていたとしても牡蠣にあたってしまうこともあります。
牡蠣にあたった場合に効果的な治療薬はなく、対症療法で毒素が抜けるのを自然に治るのを待つことになります。
嘔吐や下痢の症状が出ることから、脱水症状になるケースもあるため、こまめに水分を補給するようにしましょう。
嘔吐や下痢の症状は体が毒素を体外に排出しようとしている何よりの証拠。
そのため下痢止めなどを飲むのはかえってよくありません。
強いて上げるならば、ビオフェルミン等の整腸剤であれば大丈夫です。
発熱などの症状が重い場合は点滴する場合もあるので、病院で診てもらってください。
また、嘔吐物から感染が広がる可能性も高いため、看病をする人や周りの人も厳重に注意しましょう。
牡蠣にあたるとくせになる?
「一度牡蠣にあたるとくせになって何度もあたるようになる」ということを耳にしたことがある人もいるかもしれません。
結論から言うと、科学的根拠はありません!
ノロウイルスや腸炎ビブリオ、貝毒が原因であたった場合は、それが引き金となって何度もあたるということはまずないと考えられます。
何度も牡蠣にあたる人、牡蠣を食べるたびに具合が悪くなる人は牡蠣アレルギーの可能性がありますので、気になる場合はきちんと医療機関で検査を行ってください。
まとめ
今回は牡蠣にあたる原因と対処法、当たらないようにするにはどうしたら良いかをご紹介しました。
「なんとなく怖いから…」という理由で牡蠣を避けている人も多いのではないでしょうか。
「絶対にあたらない」という牡蠣は存在しないため、あたる確率を0にするには食べないことが一番の対策かもしれません。
しかしながら、せっかくのおいしい海の恵みを堪能しないのは少しもったいなくありませんか?
きちんと知識を持って、安全でおいしい牡蠣を食べましょう!
せっかく牡蠣を食べるならより美味しい牡蠣を!
三重県のブランド牡蠣をご紹介してますよ!
美味しい牡蠣をより美味しく!
調理法や保存方法などを詳しく解説した記事はこちら!
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